コラム

ドクターズコラム1

早坂清先生

「健康であることは偶然である」

ドクターズ・コラム

「健康であることは偶然である」by早坂清先生

私は小児科医として先天異常の診療・研究に従事し、様々な遺伝子を解析してきましたが、「健康であることは偶然である」ように思っています。

普通に暮らしている私達の遺伝子は傷だらけです。人は組み合わせの関係で一見健康に生きています。いわゆる劣性遺伝の疾患では,2つの遺伝子異常が組み合わさらないと病気になりません。健康と思われている人々でも,2桁の遺伝子異常を持っていると言われています。成人になり発症する癌などでは,1つの遺伝子が生まれつき(遺伝によるか,突然変異によるかで)傷ついており,もう一つの遺伝子が紫外線,薬品や食物などで傷がついて,発症することが知られています。成人後,発症する多くの病気において,生まれつきの遺伝子異常が関与していることが明らかにされてきています。

極端な話,事故による怪我などを除くと,あらゆる病気は多かれ少なかれ,遺伝が関係していると言えます。CCHSは優性遺伝の病気で,1つの遺伝子異常で発症します。しかし,殆どのご両親(約95%)は原因遺伝子の異常を持っておらず,遺伝ではなく突然変異によることが知られています。

人の遺伝子は傷つきやすく、全ての遺伝子が正常な人はおりません。病気を特殊な事とは考えなくて良いと思います。他の病気と同様に、十分な医療と看護を行うことに尽きると思います。日頃,子供さんの看護や介護に尽くされておられるCCHSファミリー会のご家族の皆さんが,少しでも快適に過ごされますように願っております。